今週のサマリー

8月1日をもって旧健康保険証の暫定利用措置が終了し、マイナ保険証または資格確認書への完全移行が制度上確定した。同日、高額療養費制度の第1段階施行も開始され、70歳未満の月額自己負担上限額の引き上げと年間上限の新設が動き出した。さらに骨太方針2026の閣議決定により、現役世代の保険料率上昇を「止める」方針が明文化され、中長期の社会保障改革の起点が設けられた週となった。

主要トピック

2-1

旧健康保険証の経過措置が8月1日に終了、マイナ保険証・資格確認書が唯一の受診手段に

厚生労働省は、旧来の健康保険証に対する暫定利用措置を2026年7月末で打ち切り、8月1日以降は期限切れ保険証での受診を認めないことを広く周知した。被保険者はマイナ保険証または保険者が発行する資格確認書のいずれかを持参する必要があり、期限切れ保険証のみを提示した場合は「保険証を忘れた場合」と同様に窓口でいったん全額を負担する扱いとなる。

後期高齢者医療広域連合を含む各保険者には、未交付の資格確認書を速やかに届ける最終対応が求められており、医療機関側でも受付フローの見直しが急務となっている。

🔗 GemMed: 「期限切れの保険証」は2026年8月1日以降は使用不可、マイナ保険証・資格確認書で医療機関等受診を—厚労省

📌 追跡: マイナ保険証への完全移行(旧健康保険証廃止)

2-2

高額療養費制度が第1段階施行、月額上限引き上げと年間上限の新設が開始

2026年8月から、70歳未満の月額自己負担上限額が全所得区分で引き上げられるとともに、長期療養者を保護する年間上限額が新設された。厚生労働省の説明資料では、負担増となる所得区分や経過措置の適用期間が整理されており、保険者・医療機関が患者への窓口説明を行うための不可欠な一次資料として機能している。

2027年8月には所得区分がさらに現行5区分から13区分へ細分化される第2段階施行が控えており、各保険者は給付事務システムの継続的な改修対応が必要となる。

🔗 厚生労働省: 高額療養費制度の見直しについて(2025年2月4日時点の資料)

📌 追跡: 高額療養費制度見直し(2026年8月第1段階施行)

2-3

骨太方針2026を閣議決定、現役世代の保険料率上昇を「止める」と明記

政府は骨太方針2026を閣議決定し、現役世代の保険料率上昇を抑制する方針を方針文書に明記した。後期高齢者の医療費負担見直しや介護保険制度改革も盛り込まれており、給付と負担のバランスを再設計する中長期的な改革の方向性が示されている。

今後の診療報酬改定や高額療養費制度の在り方を含む広範な制度改正議論の起点となる政策文書であり、その影響は各保険者の財政運営にも及ぶ。

🔗 GemMed: 骨太方針2026を閣議決定、「現役世代の保険料率の上昇を止め」

📌 追跡: 後期高齢者医療制度の保険料上限引き上げ(2026年度~)

2-4

令和8年度診療報酬改定の公式情報源が整備、実務対応の参照基盤に

厚生労働省は令和8年度診療報酬改定に関する情報を集約した公式案内ページを整備し、告示・通知・各種関連資料へのリンクを一元提供している。6月1日施行の改定後の診療報酬体系を確認するための一次資料として、医療機関・保険者・審査支払機関の実務担当者にとって参照頻度の高い情報源となっている。

かかりつけ医機能の評価強化や看護必要度の基準見直しなど多岐にわたる改定事項に対応するにあたり、本ページへの継続的な照会が必要となる。

🔗 厚生労働省: 令和8年度診療報酬改定について(2026年6月1日時点の資料)

📌 追跡: 2026年度診療報酬改定(6月1日施行)

追跡中の議題の動向

3-1

マイナ保険証への完全移行(旧健康保険証廃止)

2026年8月1日をもって期限切れ旧健康保険証による暫定受診措置が終了し、マイナ保険証または資格確認書の提示が原則となった。後期高齢者医療広域連合を含む各保険者による資格確認書の最終交付対応が求められている。

📌 追跡: マイナ保険証への完全移行(旧健康保険証廃止)

3-2

高額療養費制度見直し(2026年8月第1段階施行)

2026年8月から70歳未満の月額自己負担上限額が全所得区分で引き上げられるとともに年間上限額が新設された。厚生労働省の公式説明資料が一次資料として整備されており、保険者・医療機関の窓口対応の実務基盤となっている。

📌 追跡: 高額療養費制度見直し(2026年8月第1段階施行)

3-3

後期高齢者医療制度の保険料上限引き上げ(2026年度~)

骨太方針2026の閣議決定において、現役世代の保険料率上昇を抑制する方針と後期高齢者の医療費負担見直しが明記され、後期高齢者医療制度をめぐる給付・負担の再設計議論の政策的起点が設けられた。

📌 追跡: 後期高齢者医療制度の保険料上限引き上げ(2026年度~)

3-4

健保法等改正案(OTC類似薬・正常分娩保険適用等)

2026年6月12日の衆院厚労委では、がんゲノムパネル検査の保険適用要件の制約とエキスパートパネルの省略要件、及びOTC類似薬の追加負担に関連したセルフメディケーション推進上の課題が審議された。

📌 追跡: 健保法等改正法(OTC類似薬・正常分娩保険適用等)

3-5

2026年度診療報酬改定(6月1日施行)

厚生労働省が改定情報を集約した公式ページを通じて告示・通知・各種資料を一元提供しており、施行後の疑義解釈への対応を含む実務定着フェーズが続いている。

📌 追跡: 2026年度診療報酬改定(6月1日施行)

国会審議ウォッチ

※ 国会会議録は確定までに委員会で3〜5週、本会議で1〜2か月のラグがあります。以下は確定済み議事録に基づく回顧です。

4-1

2026年6月25日 参議院厚生労働委員会 第15号|訪問看護の過剰請求適正化と若者の受診アクセス障壁が論点に

秋野委員は、ホスピス型住宅における訪問看護の不正・過剰請求を取り上げ、2024年度改定で新設された包括型訪問看護療養費での緊急訪問看護加算の安易な算定を問題視した。保険局長は疑義解釈で安易算定を認めない方針を示し、レセプト情報の活用と中医協での検証を通じた改定検証を行う考えを述べた。

川村委員は、若者が産婦人科・精神科を受診する際に医療費通知を通じて保護者に知られることへの不安が受診抑制を招いているとして、ユースクリニックの整備と財政基盤確立を訴えた。これに対し保険局長は、医療費通知が保険者の実施事項である旨の説明にとどまった。

🔗 国会会議録検索システム: ホスピス型住宅の訪問看護過剰請求適正化と若者の医療費通知問題(参院厚労委)

📌 追跡: 2026年度診療報酬改定(6月1日施行)

4-2

2026年6月16日 参議院厚生労働委員会 第13号|介護保険の被保険者範囲を医療保険加入者全体へ拡大する案が提起

社会福祉法等の一部改正法律案の参考人質疑において、連合の永井幸子氏は、介護保険の被保険者・受給者の範囲を18歳未満を除く全医療保険加入者へ拡大すべきとの立場を表明した。現行制度では被保険者でない層が介護ニーズを持っていても給付を受けられない課題を指摘しており、制度の普遍化を求めた。

一方で、拡大に際しては財源・負担構造の変化を踏まえた丁寧な説明と、新たに対象となる若年層への周知が不可欠との留保も付した。

🔗 国会会議録検索システム: 介護保険の被保険者範囲拡大(18歳以上)と医療保険加入者への普遍化論議(参院厚労委)

4-3

2026年6月12日 衆議院厚生労働委員会 第15号|がんゲノム検査の保険適用要件とOTC薬の適正利用が審議

金澤委員は、がんゲノムパネル検査が「標準治療終了後・生涯一回」に限定されている保険適用要件の制約とエキスパートパネルの事務負担増を問題提起した。保険局長は、令和8年度診療報酬改定で薬事承認薬剤が特定できる場合のエキスパートパネル省略を認めたと説明し、標準治療前・複数回実施については評価療養の枠組みで科学的根拠を収集中とし、中医協での保険適用議論を進める方針を示した。

また沼崎委員は、健康保険法改正に伴うOTC類似薬の追加負担に触れつつ、市販鎮痛薬の長期使用による「薬物乱用頭痛」リスクを指摘し、OTC薬の適正利用促進を求めた。

🔗 国会会議録検索システム: がんゲノムパネル検査の保険適用拡大とOTC薬適正利用が審議(衆院厚労委)

📌 追跡: 健保法等改正法(OTC類似薬・正常分娩保険適用等)

4-4

2026年6月10日 衆議院厚生労働委員会 第14号|腎移植と血液透析の医療費比較、オプティングアウト方式の導入提案も

大坪健康・生活衛生局長は、腎移植は導入時の費用が高いが維持期では血液透析より費用が低く、生命予後・生活の質でも腎移植が優れる点が多いと説明した。福田徹委員は、意思表示普及率が令和3年の65.5%から令和7年の61.7%へ低下していることを根拠に、オプティングアウト方式の導入検討を政府に提案した。

医療保険の制度改正審議が主軸ではなく、移植医療の在り方と保険診療コストの比較が中心的な論点となった。

🔗 国会会議録検索システム: 腎移植・血液透析の医療費比較と臓器提供意思表示方式の議論(衆院厚労委)

その他の主な動き

編集後記

今週は、制度の「節目」が重なった週として記憶される。旧健康保険証の経過措置終了と高額療養費制度の第1段階施行がともに8月1日に到来し、被保険者・保険者・医療機関の三者に同時に対応を迫る格好となった。特に旧保険証の扱いについては、高齢の被保険者を多く抱える後期高齢者医療広域連合において、資格確認書の交付漏れがそのまま受診トラブルに直結するリスクがある。

骨太方針2026は、現役世代の保険料率上昇を「止める」という強い政治的コミットメントを前面に打ち出したが、その財源論はこれからが本番となる。高額療養費の段階的引き上げ、後期高齢者の自己負担見直し、OTC類似薬の給付外化など、今後の制度改正は「誰が・どれだけ・どの順序で」負担するかの議論に収斂していく。国会審議の確定議事録が積み上がるにつれ、その議論の輪郭もより鮮明になるだろう。


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