今週のサマリー
2026年8月1日、期限切れ旧健康保険証による暫定措置が終了し、マイナ保険証または資格確認書による受診が正式に原則化された。これと並行して、同日施行の高額療養費制度第1段階改正に向けた保険者・加入者への周知が本格化。協会けんぽが加入者向け案内を公開したほか、けんぽれん機関誌は改正健保法成立や後期高齢者医療制度への金融所得反映など複数の制度改正を総括した。制度変更が重なるこの時期、保険者・医療機関・被保険者の三者すべてに同時並行の実務対応が求められている。
主要トピック
旧保険証の暫定措置終了、8月以降は資格確認書が受診の鍵に
2026年7月末をもって、期限切れ健康保険証による暫定的な受診対応の経過措置が終了した。2026年8月1日以降、医療機関を受診する際にはマイナ保険証または資格確認書の提示が原則となり、マイナ保険証を取得していない被保険者への資格確認書発行対応が各保険者に求められる。
後期高齢者医療広域連合を含む全保険者にとって、移行体制の整備が最終局面を迎えた節目といえる。
🔗 Gem Med: マイナ保険証・資格確認書で医療機関等受診を—厚労省
高額療養費制度の改正イメージを厚労省が図示、二段階施行の全体像が明確に
厚生労働省が高額療養費制度見直しに関する改正イメージ資料を公表した。2026年8月を第1段階として月額自己負担上限の引き上げと年間上限の新設が実施され、2027年8月には所得区分が現行5区分から13区分へ細分化される第2段階が続く。
保険者の給付事務システム改修や医療機関の窓口対応に直結する内容であり、制度全体の設計を把握するための基礎資料として位置づけられる。
🔗 厚生労働省: 高額療養費制度の見直しについて(イメージ)
協会けんぽが8月施行の高額療養費改正を加入者向けに周知
全国健康保険協会(協会けんぽ)は2026年8月12日、2026年8月1日施行の高額療養費制度見直しを加入者向けに案内するページを公開した。月額上限引き上げおよび年間上限新設という主要な変更点を整理しており、約3,900万人の被保険者・被扶養者を抱える最大の保険者による施行後の周知対応として実務上の意義が大きい。
🔗 全国健康保険協会: 【制度改正】令和8年8月から高額療養費制度が見直されます
けんぽれん機関誌が改正健保法成立と金融所得反映を総括
健康保険組合連合会の機関誌「健保ニュース」2026年8月合併号が、改正健保法の成立および後期高齢者医療制度への金融所得反映など、直近の健保制度をめぐる重要な動きをまとめた。
複数の制度改正が同時期に集中する中、業界全体の動向を横断的に整理した内容となっており、健保組合の実務担当者が制度改正の全体像を把握するうえで参考となる。
🔗 健康保険組合連合会: 健保ニュース 2026年8月合併号 - 健康保険組合連合会 けんぽれん
追跡中の議題の動向
マイナ保険証への完全移行(旧健康保険証廃止)
2026年8月1日をもって経過措置が終了し、医療機関受診時にはマイナ保険証または資格確認書の提示が原則となった。
高額療養費制度見直し(2026年8月第1段階施行)
厚労省が二段階施行の全体像を図示した改正イメージ資料を公表し、協会けんぽが8月12日付で加入者向け案内ページを公開するなど、施行後の周知対応が本格化している。
健保法等改正案(OTC類似薬・正常分娩保険適用等)
けんぽれん機関誌が、改正健保法の成立と後期高齢者医療制度への金融所得反映を含む主要な改正内容を取りまとめて報じた。
国会審議ウォッチ
※ 国会会議録は確定までに委員会で3〜5週、本会議で1〜2か月のラグがあります。以下は確定済み議事録に基づく回顧です。
2026年5月27日 参議院本会議 第16号|医療物資の安全保障と診療報酬対応が論点に
国民民主党の牛田議員は、特定重要物資に指定されている医療関係物資が抗菌薬と人工呼吸器の2種類にとどまることを指摘し、透析回路や麻酔薬・昇圧薬の追加指定を求めた。また、物資高騰・人件費上昇・公定価格制約の三重苦に直面する医療機関への財政支援の拡充も要求した。
上野厚生労働大臣は、令和8年度診療報酬改定による対応を説明しつつ、特定重要物資の追加指定についてはサプライチェーンリスク調査を速やかに実施して検討するとした。
🔗 国会会議録検索システム: 医療物資の特定重要物資指定拡大と診療報酬対応が焦点(参院本会議)
2026年7月9日 参議院厚生労働委員会 第17号|長期高額特定疾病患者の負担上限をめぐり財務省・厚労省の齟齬が浮上
芳賀道也委員(国民民主)は、厚労省保険局長が「今回の改正に特定疾病制度の見直しは含まれない」と答弁した一方、財務省の財政制度等審議会がその後この制度の見直しを明記した資料を公表したことを問題視し、閣内不一致ではないかと追及した。
財務大臣政務官は、同建議は諮問機関の指摘にとどまり閣内不一致には当たらないと答弁した。しかし、人工透析患者をはじめとする長期療養者が必要な医療を断念せざるを得なくなるとの懸念は引き続き委員会の重要論点として残っている。
🔗 国会会議録検索システム: 長期高額特定疾病患者の高額療養費負担見直しをめぐる財務省・厚労省の齟齬(参院厚労委)
その他の主な動き
- 令和8年度の医療保険関係通知を東北厚生局が更新🔗 東北厚生局: 医療保険関係通知一覧(令和8年度)|東北厚生局
- 関東信越厚生局も令和8年の医療保険関係通知を一覧化🔗 関東信越厚生局: 医療保険関係通知一覧(令和8年)|関東信越厚生局
- 社会保障審議会医療保険部会の開催一覧ページを参照可能 🔗 厚生労働省: 社会保障審議会(医療保険部会)(2026年6月18日時点の資料)📌 追跡: 健保法等改正法(OTC類似薬・正常分娩保険適用等)
- けんぽれん「健保ニュース」8月合併号が制度改正動向を多角的に整理🔗 健康保険組合連合会: 健保ニュース 2026年8月合併号
編集後記
今週は、長らく「移行期間中」とされてきた二つの大きな制度変更が実施局面に入った週だった。旧健康保険証の暫定措置終了と高額療養費制度の第1段階施行は、それぞれ数年越しの政策議論の末にたどり着いた節目である。
特に高額療養費については、月額上限の引き上げと年間上限の新設という方向性自体は制度の持続可能性という観点から一定の合理性を持つ。しかし長期療養を要する患者への影響は依然として大きく、参院厚労委での特定疾病患者をめぐる論戦が示すように、制度の公平性に関する議論は施行後も続く。
保険者にとっては給付システム対応・加入者周知・窓口対応が同時に求められる多忙な夏となっており、実務現場の負荷にも目を向けておく必要があるだろう。
情報収集: Perplexity Sonar API